名神高速道路は、日本初の都市間高速道路として開通した歴史的経緯から、最新の高規格高速道路と比べて設計上の制約を抱えています。これが現代の交通過密と相まって、頻発する名神高速の事故原因を形作っています。
国土交通省および警察庁の過去の事故統計を分析すると、名神における多重事故は特定の地形・心理的トリガーに集中しています。代表的なものが「サグ部(下り坂から上り坂へ変化する凹部)」における無意識の速度低下です。ドライバー自身が減速に気づかないまま走行し、後続車が車間距離を詰めてしまうことで、1台の急ブレーキが後方で増幅され、玉突き衝突を引き起こします。
さらに、交通心理学の観点から見逃せないのが「長距離移動に伴う認知バイアス」と「追従走行時の集中力低下」です。長距離トラックや帰省ドライバーが多くを占める名神では、単調な運転による注意散漫(マイクロスリープ)や、「前の車についていけば安全だ」という過度の安心感(同調バイアス)が働きやすくなります。これが、視界不良時や合流部での判断遅れを生み、致命的なクラッシュへとつながる構造的背景となっています。