赤羽八幡神社の最大の物理的特徴は、本殿が建つ小山の真下を新幹線のトンネルが貫通している点です。東北新幹線の上野・東京延伸工事が進められた1970年代から1980年代初頭、赤羽地区の用地買収交渉は難航を極めました。当初計画されていたルートでは神社の敷地を分断・移転せざるを得ない危機に直面したものの、地域の氏神として1200年以上の歴史を刻んできた神域を守るため、関係機関による極めて異例の協議が重ねられました。
当時の国鉄(現・JR東日本)と神社側、地元住民の間で導き出された奇策が、「小高い山の地形を活かし、本殿の直下にトンネルを掘り抜いて新幹線を通す」という立体的な土木協定です。社殿の土台補強工事や耐震・防音設計を施すことで、神域を移転させることなく鉄道インフラを通す画期的な共存モデルが誕生しました。
現在、境内奥の高台からは、東北・秋田・山形・上越・北陸の各新幹線やJR埼京線がひっきりなしに行き交う様子を間近で見下ろすことが可能です。境内の静謐な空気と、時折響く列車の通過音が調和する光景は、土木工学と伝統信仰が結実した奇跡の景観として評価されています。