達也という怪物をこの世界に繋ぎ止める唯一の錨、それが司波深雪だ。彼女の規格外の冷却魔法「ニフルヘイム」や精神干渉魔法「コキュートス」の威力は、達也の暴走を抑止するために四葉家が仕掛けた安全装置でもある。二人の関係は、兄妹という血縁を超越した、共依存的かつ破滅的な誓約の上に成立している。
美しく完璧な淑女として振る舞いながら、達也を害するものには一切の慈悲を見せない深雪の氷の狂気。達也の唯一残された「怒り」と「愛情」が深雪にのみ向けられているという事実が、この二者関係を神聖化させると同時に、周囲を巻き込む圧倒的な火種へと変貌させていく。世界を救うために妹を捨てることはあり得ず、妹のために世界を焼き尽くすことを達也は躊躇しない。この歪んだ純愛こそが、物語を推進する最大のエンジンだ。