隣接地に鳴り物入りで誕生した「豊洲千客万来プロジェクト」。江戸の街並みを再現した商業施設と温浴施設が融合したこの巨大拠点は、湾岸エリアのフードツーリズムを一変させた。連日、国内外から訪れる観光客が足湯を楽しみ、食べ歩きに興じている。だが、ここでひとつの議論が巻き起こっている。インバウンド需要を見越した強気の価格設定だ。一杯数千円から、時には1万円を超える豪華絢爛な丼がSNSを席巻している。
金粉が舞い、イクラがこぼれ落ちるヴィジュアルは確かに派手だ。しかし、市場関係者が眉をひそめる瞬間もある。「見栄えと仕入れ値の釣り合いが取れているのか。客が求めているのは写真映えなのか、本物の味なのか」。観光地化の波に呑まれることなく、真摯に魚の質で勝負する老舗とのコントラストが、今この場所で浮き彫りになっている。