ランナーがバックパックに求める最大の命題は「ブレの完全な排除」に他なりません。どれほど軽量なザックであっても、上下左右への追従性が甘ければ、ストライドごとに背中で生じるバウンドが体幹のエネルギーを削り取っていきます。ノースフェイス ランリュック 揺れない理由の核心は、登山用リュックの小型化ではなく、衣服のように身にまとう「ベスト型デザイン(ウエアラブル構造)」を先駆けて突き詰めた点にあります。
一般的なデイパックは両肩の2点と腰ベルトで荷重を支えますが、ノースフェイスのハイエンドシリーズ「TR」や定番「マーティンウィング」は、幅広に設計されたショルダーハーネスが肋骨周りを面でホールドします。さらに、上下2箇所のチェストストラップを配することで、肺の膨らみによる胸郭の拡張を妨げずにパックを身体の重心へ圧着させる構造を作り上げました。
荷重の重心位置を一般的なバックパックよりも「肩甲骨の最も高い位置」へ引き上げるマス・セントラライゼーション(集中化)設計が施されており、前傾姿勢をとった際にもザックが腰へずり落ちません。走る動作と上半身の回旋運動に対し、パックが体の一部として完全にシンクロするため、走行中の「遠心力による揺れ」を物理的に減衰させることに成功しています。