近年の「檜原村恐怖説」を加速させている最大の要因は、SNS動画クリエイターたちによる過激なロケ企画だ。2025年から2026年にかけて、ショート動画やライブ配信で「都内の未開の地」「呪われた旧道」といったタイトルを冠したコンテンツが爆発的に再生数を伸ばした。
村内に点在する古い木造家屋や、かつて林業で栄えた時代の作業小屋跡などが、サムネイル画像で不気味に装飾されて拡散される。「誰もいないはずの建物から視線を感じた」「スマートフォンの画面が突然フリーズした」といった大げさな演出が、視聴者の間で「檜原村=心霊スポット」という強固なパブリックイメージを形成してしまったのだ。
しかし、地元の歴史に詳しい郷土史家はこう指摘する。「ネットで『廃墟』と騒がれている建物の多くは、単に個人の所有地であったり、山林管理用の資材置き場です。不法侵入や夜間の騒音が相次ぎ、住民は本当に困惑しています」。都市伝説の裏には、動画のインプレッション稼ぎによって踏みにじられる地域社会の現実が存在する。