多くの学校教育において、周期表の暗記は20番のカルシウム(Ca)で一旦区切られます。これは高校の「化学基礎」で扱う電子配置において、最外殻電子の規則性が分かりやすい典型元素が20番までであり、21番以降は内側の軌道に電子が入っていく「遷移元素」に突入するためです。しかし、大学受験の理系化学や無機化学の学習においては、まさにこの21番から36番までの第4周期元素こそが得点差のつく激戦区となります。
そこで全国の予備校や進学校の現場で生み出されたのが、名作と名高い「スコッチバニラクローマン」に代表される20番以降の続きです。21番のスカンジウム(Sc)から30番の亜鉛(Zn)、さらに36番のクリプトン(Kr)までを一気に駆け抜ける語呂合わせは、一度聞いたら忘れられないインパクトを放っています。
代表的なフレーズとして広く知られているのが以下の呪文です。
「スコッチ(Sc, Ti) バニラ(V) クローマン(Cr, Mn)、徹(Fe) 子(Co) に(Ni) 銅(Cu) 亜鉛(Zn)。が(Ga) ゲ(Ge) あ(As) せ(Se) ブ(Br) ル(Kr)」
また、さらにリズミカルに繋げたバリエーションとして、予備校の講義録などでは次のフレーズも根強い人気を誇ります。
「閣下(K, Ca)、スコッチ(Sc, Ti) バニラ(V) クロー(Cr) マン(Mn)! 徹子(Fe, Co) に(Ni) 逢えば(Cu, Zn) 縁起が(Ga, Ge) ええ(As, Se) くらい(Br, Kr)」
高級ウイスキーのスコッチと甘いバニラ、そして正体不明の怪人「クローマン」が登場し、テレビ番組の重鎮を思わせる「徹子」に逢いに行くという怒涛のストーリー展開は、受験生の疲れた脳に鮮烈な刺激を与えます。31番ガリウム(Ga)から36番クリプトン(Kr)に至る終盤のパートも、言葉の響きの面白さで一気に駆け抜ける構成になっており、知る人ぞ知る裏技として代々語り継がれてきました。