推薦入試の作文・小論文や文芸の公募において、合否の境界線上に並んだ答案をふるい落とすのは、往々にして「基本の破綻」である。とりわけ減点対象になりやすいのが、タイトルや氏名、そして改行の配置ミスだ。文部科学省の学習指導要領でも初等教育から定められているはずの日本語表記ルールが、試験本番のプレッシャーの中で驚くほど簡単に抜け落ちていく。
第一の落とし穴は行頭の処理だ。段落の書き出しで一文字空けるのは常識だが、会話文の「カギ括弧」の扱いになると途端に怪しくなる。会話の始まりは改行して一マス目に括弧を置くのが通例だが、直後の文字を空けてしまう初歩的なミスが後を絶たない。さらに、句読点(。や、)を行頭に置いてしまう致命的なエラー。マス目の外側、欄外の余白に押し込むべき禁則処理を怠り、先頭のマスに「。」を配置した瞬間、審査官のペンは冷たく減点欄を走る。促音(っ)や拗音(ゃ、ゅ、ょ)を一マス分として独立して書くべきかどうかも、指定形式への理解度を測る試金石となる。