小野測器のコア・コンピタンスは、物理現象を極限の精度で電気信号に変換し、それを高速フーリエ変換(FFT)などで解析する計測技術です。この土台の上に立つ代表製品の競争力を分析すると、同社の強みと課題がはっきりと見えてきます。
代表的な製品群のひとつが精密騒音計および音響・振動解析システムです。建築・環境測定からプラント、精密機器の異音検査まで幅広く使われており、リオンなどの競合とともに国内市場で強固な地盤を持っています。特に、人間が不快に感じる音の質を数値化する「音質評価技術」は、同社が培ってきたアルゴリズムの集大成であり、他社が容易に真似できない強みです。
そしてもうひとつの柱が、非接触式の位相差式トルク検出器です。回転軸のねじれ角を光学・磁気的に検出し、高精度にトルクを測る技術は、内燃機関の動弁系や駆動系のテストでデファクトスタンダードとして君臨してきました。
しかし、EV時代においてはこの技術体系に新たな壁が立ちはだかります。EVモーターは毎分1万5,000〜2万回転を超える超高速回転に達し、インバータから強烈な電磁ノイズ(スイッチングノイズ)を放射します。従来の測定器ではノイズ対策や耐遠心強度の再設計が不可欠です。小野測器は現在、これらの超高回転・低ノイズ環境に適合した次世代トルク測定システムや、EV走行時の静寂性ゆえに際立つロードノイズ・インバータ鳴きの計測ソリューションへとリソースを急ピッチでシフトさせています。