2014年11月に33歳で現役引退を表明した村主章枝は、そのわずか1か月後にファースト写真集『月光』(講談社)を刊行しました。競技人生の集大成ともいえる名プログラム「月光」をタイトルに冠した作品での大胆なヌード披露は、メディア各社でトップニュースとして報じられました。
出版を決意した決定的な背景について、当時の特番インタビューや自著・手記で語られた「33歳まで限界まで鍛え抜いてきたアスリートとしての肉体を、最も美しい瞬間に記録として残したかった」という生の告白にその本質があります。フィギュアスケートという過酷な競技において、体脂肪率を極限まで絞り込み、日々のハードトレーニングで彫刻のように研ぎ澄まされた身体は、現役引退の瞬間こそがピークでした。
さらに、引退後の自立に向けた「表現者としての脱皮」も大きな動機でした。長年の競技生活で背負ってきたプレッシャーや周囲の固定観念から解放され、ひとりの自立した女性として新たなスタートを切るための強い意思表示だったと、後年のドキュメンタリー取材でも述懐されています。