制作費や視聴習慣といった外的要因以上に、テレビ離れを決定的に早めているのが報道姿勢に対する視聴者の不信感です。ネット空間では連日のように偏向報道と世論の批判が巻き起こり、「放送法第4条(政治的公平性)」を盾にした報道姿勢への疑問符が突きつけられています。
かつての昭和・平成初期であれば、放送局が編集した映像やコメンテーターの所感は「世論の標準」として無批判に受け入れられていました。しかし、SNSが隅々まで普及した現代では、会見の全編ノーカット生中継や一次資料をネット上で誰でも即座に確認できます。文脈を意図的に切り取って特定の論調に誘導する編集が行われれば、わずか数分で「切り取り報道」「印象操作」として拡散され、検証されてしまうのが現状です。
社会心理学において、人は「自分の知る権利を恣意的にコントロールされている」と認知した瞬間、強い心理的リアクタンス(反発心)を抱きます。テレビが長年誇ってきた「客観的な第4の権力」という特権意識が、一次情報を自ら確認できるネットユーザーの認知と激しく摩擦を起こしている点こそ、現在の視聴者離れにおける精神的要因と言えます。