トリニティの誕生は1924年に遡ります。カルティエの創業者一族であるルイ・カルティエの卓越した美的感性によってデザインされました。装飾過多なジュエリーが主流だった当時のパリにおいて、無駄を極限まで削ぎ落とした3つのリングが滑らかに動くギミックは、まさに革命的なアプローチでした。
このリングを語る上で欠かせないのが、フランスの著名な芸術家・詩人であるジャン・コクトーの存在です。ルイ・カルティエと深い親交のあったコクトーはトリニティリングをいたく気に入り、左手の小指に2段重ね(合計6連)で身につけていた逸話はあまりにも有名です。
アール・デコ全盛期に生まれた幾何学的でクリーンな造形美は、彫刻作品のような佇まいを持ち、1世紀を超えた今なおアバンギャルドであり続けています。単なる流行のアクセサリーではなく、アートピースとしての歴史的背景を備えている点こそが、トリニティが唯一無二と呼ばれる理由です。