甘い香りに包まれるホワイトデーの陰で、アカデミアの世界において3月14日は崇高な知の祭典として祝われています。その筆頭が「円周率の日(Pi Day)」です。
円周率の近似値である「3.14」にちなみ、1988年に米国の物理学者ラリー・ショウがサンフランシスコの科学館「エクスプロラトリアム」で提唱したのが発端とされています。世界中の数学ファンや教育機関では、3月14日1時59分(3.14159...にちなむ)にパイ(Pie)を焼き、円周率の暗誦を競い合う伝統が今も息づいています。
日本国内でも、公益財団法人日本数学検定協会が1997年にこの日を「数学の日」に制定し、数学の普及と論理的思考の重要性を啓発してきました。さらに国際的な広がりを見せ、2019年11月のユネスコ(UNESCO)第40回総会において、3月14日は正式に「国際数学の日(International Day of Mathematics)」として宣言され、全人類が数学の美と恩恵に感謝するグローバルな記念日へと昇格しました。
そして、科学史における最大の奇跡とも呼べる符号が、アルベルト・アインシュタインの誕生日(1879年3月14日)です。特殊相対性理論および一般相対性理論を打ち立て、現代物理学の扉を開いた知性の巨人が、まさに円周率の日にドイツ・ウルムで生を受けた事実は、知的好奇心を刺激してやみません。さらに、2018年3月14日には、現代宇宙論のパイオニアであるスティーブン・ホーキング博士が76歳でこの世を去っています。知の極北を切り拓いた2人の巨人が、3月14日という特異点で生と死の交差点を結んでいるのです。