インターネット上のテンプレートを無批判にコピー&ペーストした結果、相手に「常識がない」「配慮が足りない」と受け取られてしまう失敗例が後を絶ちません。3月中旬の挨拶文において、特に陥りやすい3つの盲点とネットの誤解を整理します。
第一の誤解は、「桜満開」「春爛漫」といった言葉のフライング使用です。Web上の文例集の中には、3月というだけで「桜の花のたよりが聞かれる今日この頃」「爛漫たる春の光」といった文言を掲載しているサイトが見受けられます。しかし、日本気象協会の過去データを見ても、多くの地域で桜(ソメイヨシノ)が満開を迎えるのは3月下旬から4月上旬です。3月中旬はまだつぼみが膨らみ始めた段階であり、「桜の花が咲き誇り」といった表現を使ってしまうと、季節感を把握していない違和感を相手に与えます。3月中旬であれば「桜のつぼみもほころび始め」や「春の息吹を感じるころ」と表現するのが実情に即しています。
第二の盲点は、相手先の地域と送り手の地域の「体感温度差」の無視です。東京や大阪で日中18度を超える春らしい陽気であっても、東北や北陸、北海道では雪が降り積もっているケースは珍しくありません。遠方の取引先に向けて「すっかり春めいてまいりました」と送ってしまうと、相手側の事情を想像できない独りよがりな印象を与えてしまいます。相手先が寒冷地の場合は、「名残の雪が舞うころ」「寒暖定まらぬ折」といった気候配慮の言葉を選ぶのが大人の品格です。
第三の失敗は、厳密な期限を持つ時候の言葉の取り違えです。「啓蟄の候」を春分の日(3月20日頃)を過ぎても使い続けたり、真冬の表現である「余寒の候」を中旬になっても使い回したりするミスが目立ちます。時候の挨拶は、送り手のカレンダー感覚と教養が如実に反映される部分であるため、発送日時点の二十四節気を必ず確認する習慣が欠かせません。