なぜこれほどまでに多くの人々が、何十組もの順番待ちをしてまで焼肉きんぐに足を運ぶのか。SNSの投稿分析や、週末の店舗現場での観察取材を行うと、単に「肉が食べ放題である」以上の顧客体験価値が浮かび上がってきます。
店舗のフロアで際立つのは、「焼肉ポリス」と呼ばれる名物スタッフたちの存在です。オーダーバイキング形式の食べ放題は、利用者が自ら肉を焼き続けるため、火加減の失敗や焦げ付き、網の交換タイミングの遅れなど、ストレス要因が多発しやすい環境にあります。焼肉きんぐでは、配膳ロボットがスピーディに肉を運ぶ一方で、ポリスの腕章を巻いたスタッフが客席を巡回し、「このお肉は今がひっくり返し時ですよ」「網を替えましょうか」と積極的に声をかけていきます。この「フルサービスとセルフサービスの絶妙なハイブリッド」が、利用者に心地よい安心感を与えています。
SNSやネット上のリアルな口コミを検証しても、高評価を得ているユーザーには明確な共通項があります。
「注文してから届くまでのスピードが異常に早い。制限時間100分(ラストオーダー20分前)でも、配膳遅延でイライラすることがない」
「小さな子ども連れでも、ポテトやうどん、そぼろご飯などのサイドメニューが充実していて、親がゆっくり肉を食べられる」
一方で、不満を訴える声のほとんどは、「予約なしで18時に飛び込んで2時間待たされた」「待合スペースが座れず、子どもが愚図って最悪だった」という、入店プロセスの失敗に起因しています。料理や接客そのものに対する不満ではなく、「待ち時間のコントロールミス」が体験の質を著しく下げている実態がデータからも明白です。