この奇跡の森を生み出した張本人こそ、地元の造園家である鶴田正明氏だ。かつて荒廃しつつあった作礼山の斜面を買い取り、「森が川を育み、川が海を育てる」という自然循環の信念のもと、たった一人で植林をスタートさせた。重機が入れない急斜面にも手作業でカエデの苗木を植え続け、約50年の月日を費やして理想の森を築き上げた。
鶴田氏の情熱は、単に美しい庭を作るだけにとどまらない。土壌の保水力を高め、麓の川や海へ豊かな栄養を運ぶ健全な森林生態系を取り戻すことが真の目的だった。彼の泥臭くも途途もない執念が実を結び、かつての荒地は今や日本屈指の美しさを誇る生命の聖域へと生まれ変わったのだ。