戦争の絵本が今再評価される理由とは?トラウマを防ぐ名作の選び方

戦争の絵本が今再評価される理由とは?トラウマを防ぐ名作の選び方

戦争の絵本が今再評価される理由とは?トラウマを防ぐ名作の選び方について押さえておきたい 理由を分かりやすく解説いたします。

一方で、SNSの育児コミュニティやQ&Aサイトでは「子供時代に読んだ戦争絵本がトラウマとして残り、今でも特定の表紙を見るだけで動悸がする」「良かれと思って読み聞かせたら、子供が夜驚症のように泣き叫んでしまった」という告白が後を絶ちません。なぜ、平和を願って作られたはずの作品が、子供の心に深い傷痕を残してしまうのでしょうか。

児童精神医学および発達心理学の研究では、この現象は「代理受傷(二次受傷)」のメカニズムで説明されます。特に4歳から7歳前後の子供は、心理学者のジャン・ピアジェが提唱した「前操作期」から「具体的操作期」への過渡期にあります。この時期の子供は、虚構と現実、自己と他者の境界線(心理的バウンダリー)が極めて未分化です。そのため、絵本に描かれた火災、皮膚の熱傷、動物の飢餓死といった描写を、客観的な過去の出来事としてではなく、「今まさに自分の身に降りかかる直接的な危機」として脳の扁桃体が受け止めてしまうのです。

戦争絵本 トラウマ 理由を分析すると、単に内容が悲惨だからという理由だけではありません。子供の認知的受容力を超えたリアルすぎる視覚情報が、安心できる家庭の安全基地を侵食してしまう点に本質的な問題があります。「二度と戦争を起こさないために、まず恐ろしさを骨身に染み込ませるべきだ」という昭和期の一部で見られた教育的意図は、心理学的には恐怖による思考停止や忌避行動(アボイダンス)を引き起こすリスクが高いことが明らかになっています。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。