『あさが来た』の真の凄みは、出演した俳優陣がその後、日本のエンターテインメント界のトップランナーへと駆け上がっていったキャスティングの先見性にあります。放送から10年以上の歳月が流れた今、彼らが築き上げた現在のキャリアを総括します。
波瑠(白岡あさ役)|国民的ヒロインから実力派主演女優への飛躍
朝ドラオーディションを複数回受け、4度目の挑戦にして見事ヒロインの座を射止めた波瑠。当時24歳で挑んだ過酷な撮影現場を乗り越え、彼女は名実ともにトップ女優へと成長しました。その後も『波よ聞いてくれ』『ナイト・ドクター』など多彩なジャンルで主演を務め、芯の通った理知的なキャラクターからコメディまで演じ分ける存在として、ドラマ界に不可欠な存在となっています。
玉木宏(白岡新次郎役)|「究極の受けの芝居」から多面的な名優へ
あさを後方から柔らかく支え、三味線を爪弾く道楽者に見せかけて核心を突く新次郎を演じた玉木宏。この「究極の引き算の美学」を見せつけた演技は、彼の役者人生におけるひとつの転換点となりました。近年では映画『ゴールデンカムイ』での狂気的な鶴見中尉役や、緊迫したサスペンス、さらには映像監督への挑戦など、重厚さとダンディズムを増した円熟の境地に達しています。
ディーン・フジオカ(五代友厚役)|ボーダレスな表現者としての確立
本作をきっかけに「逆輸入俳優」として日本国内で一躍スターダムに駆け上がったディーン・フジオカ。その後もドラマ『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』『シャーロック』での主演をはじめ、映画プロデュースやミュージシャンとしての楽曲提供など、既存の枠組みにとらわれないマルチな才能を発揮し続けています。
脇を固めた若手たちの台頭|清原果耶、吉岡里帆らの原点
本作は現在の一線級スターたちの発掘場でもありました。当時13歳で女中・ふゆ役に抜擢され、圧倒的な透明感と切ない演技で注目を浴びた清原果耶は、後に『おかえりモネ』で朝ドラヒロインに上り詰めました。また、あさの娘・千代の親友である丸メガネの田村宜役を好演した吉岡里帆も、本作のコミカルかつひたむきな演技がブレイクの決定打となりました。これほど豪華な顔ぶれが一堂に会していた事実は、いま振り返っても驚嘆に値します。