作中で描かれる「ホルモー」は、一見すると荒唐無稽な悪ふざけのようでありながら、厳格かつ精緻な規律に縛られた伝統競技だ。京都市内にキャンパスを構える四つの大学サークルが、それぞれ四神(青竜・白虎・玄武・朱雀)の看板を背負い、夜な夜な激突を繰り返す。
各チームは10人のプレイヤーで構成され、1人につき100匹、チーム全体で計1000匹のオニを率いて対峙する。オニたちのエネルギー源はなんとレーズン。指揮官となる人間は、「ゲロンチョリー」「アグラバー」といった奇妙なオニ語の呪文と、全身を使った滑稽なポーズで小鬼の群れに突撃や防御の指示を出す。
勝敗の決着は残酷なまでに明快だ。相手の指揮官を戦闘不能に追い込むか、あるいは屈辱のあまり自ら「ホルモー!」と叫んで降伏を宣言した時点で幕を閉じる。だが、敗北の代償は重い。叫んだ者は言葉を失うほどの恥辱と、精神的なトラウマに苛まれることになる。このバカバカしさと真剣勝負の落差こそが、観る者を惹きつける最大の仕掛けだ。