公の場で明快に交際を否定したにもかかわらず、なぜネット上の掲示板やSNSでは長きにわたって「交際していたのではないか」という誤解が根強く残ったのでしょうか。その背景には、2人が放つ独特のカルチャー的一体感がありました。
第1に、ビジュアルとサブカルチャー嗜好の一致です。古着を巧みに着こなす独特のファッションセンス、銀塩フィルムカメラでの写真撮影、さらには70〜80年代の邦楽ロックへの造詣など、2人のライフスタイルには驚くほど多くの共通項がありました。下北沢や三軒茶屋などのカルチャータウンで肩を並べて歩く姿は、映画のワンシーンのように絵になっていたため、目撃者が即座に「恋人同士」と錯覚しやすい土壌があったのです。
第2に、スキンシップや精神的距離感の近さです。2人は『問題のあるレストラン』の撮影現場でも、控室で同じ毛布にくるまりながら台本を読み合ったり、お互いのプライベートの悩みを率直に打ち明け合ったりしていました。一般的な日本社会における「男女の距離感」の尺度で見れば、それは恋人のように映ります。しかし、表現の最前線で自我を剥き出しにして戦う彼らにとって、それは性別の枠組みを超えた「戦友同士の無条件の安心感」だったのです。