近年の競泳界において、目覚ましい成果を支えているのがスポーツ科学の飛躍的な進化だ。かつては経験則に頼っていた練習強度の設定が、血中乳酸値の測定や心拍数データの即時解析によって緻密に管理されるようになった。
その筆頭が、酸素密度の薄い標高2,000メートル前後で行われる高地トレーニングだ。エリスロポエチン(EPO)の分泌を促し、赤血球数やヘモグロビン量を増大させることで、平地に戻った際の酸素搬送能力を爆発的に高める。代表クラスの強化合宿では、高地でのハードなインターバルに加えて、水中カメラによるハイスピード撮影を実施。疲労が蓄積した局面でキックの推進力がどう変化するかを可視化し、科学的エビデンスに基づいたフォーム修正を行うことが常識となっている。