ネット上のレシピサイトや情報発信の中には、果物の鮮度保持に関して致命的な誤解が散見されます。その最たるものが「買ってきた桃をすぐに冷蔵庫の野菜室に入れる」という保存方法です。
桃は熱帯・温帯原産のデリケートな果実であり、低温に極めて弱い特性を持っています。冷え切った冷蔵環境に長時間置かれると「低温障害」を引き起こし、特有の甘いアロマが完全に消失します。さらに、細胞から水分が抜けて果肉が繊維質になり、まるでスポンジを噛んでいるかのようなパサパサとした食感(す入り状態)へと劣化してしまいます。
もう一つの根強い誤解は、「大玉の桃は大味で、小ぶりの方が味が凝縮して甘い」という言説です。桃の生理生態において、これは明確な誤りです。1本の樹の中で太陽光を最も浴びる外側の枝に実った個体は、光合成によって作られたソルビトールなどの糖分を優先的に配分されるため、「300gを超えるような大玉」ほど糖度が高く、果汁も豊かになります。売り場で同じ価格帯なら、迷わず大玉を選ぶのがプロのセオリーです。