インターネット上のQ&Aサイトなどでは、「電源が切れないなら、バッテリーが0%になって自然に電源が落ちるまで放置すればよい」というアドバイスが散見されます。しかし、デジタル機器の専門家や修理エンジニアは、この手法に強い警鐘を鳴らしています。
リチウムイオンバッテリーは、残量が完全にゼロになった後も放置し続けると「過放電」と呼ばれる状態に陥ります。過放電状態のセルは内部電極の劣化が急激に進行し、二度と再充電を受け付けなくなる「突然死」のリスクを孕んでいます。さらに、発熱を伴いながらフリーズしている端末を放置すると、CPUの熱がバッテリーに伝わり、熱劣化による膨張や基盤損傷を招く危険性すらあります。完全放電を待つのは最終手段どころか、端末の寿命を著しく縮める悪手です。
また、「強制終了を行うと保存データが消去されるのではないか」という誤解も根強く存在します。強制再起動は、PCでいう「リセットスイッチ」を押す動作に近く、ストレージに記録された写真、連絡先、アプリデータそのものが初期化されることはありません。失われる可能性があるのは、「フリーズ直前に作成中だった保存前のデータ」のみです。システム保護のためにも、無反応時は迷わず強制終了を実行するのが論理的な正解です。