2015年、加害男性が手記『絶歌』を太田出版から突如刊行した出来事は、遺族のみならず全社会に甚大な衝撃を与えた。遺族への事前説明や了解がないまま出版されたこと、印税ビジネスへの批判、そして自らの罪を文学的レトリックで装飾したかのような文章表現は、強い激憤を買う結果となった。
さらにその後、公式ウェブサイトを開設して奇抜なアート作品や文章を発信した動きは、更生への真摯な態度とは程遠い「自己誇示癖」として糾弾された。この騒動によって、それまで彼を陰ながら支えようとしていた一部の支援者や関係者すらも距離を置かざるを得なくなったと伝えられている。
出版から10年以上が経過した2026年現在においても、『絶歌』がもたらした倫理的欠落と被害者感情の蹂躙は、犯罪加害者による手記出版制限法(いわゆるサムズ・ローに相当する法制)の議論を巻き起こす最大の契機として記憶されている。