荒川自然公園を語る上で欠かせない最大の特異点は、その立地にあります。敷地の下部に広がっているのは、日本最初の近代下水処理場として国の重要文化財にも指定されている三河島水再生センターの曝気槽(水処理施設)です。都市化が急速に進んだ昭和40年代、過密化する東京の下町において緑地スペースを確保するため、下水処理施設に蓋をしてその上部を立体的に緑地化するという当時としては極めて先進的な都市工学プロジェクトによって1974年に開園しました。
地上から約数メートルの高さにある人工地盤上でありながら、園内には土が厚く盛られ、ケヤキやクヌギ、桜などの高木が生い茂っています。現地を歩いても、足元で巨大な水処理施設が稼働していることを意識させられる場面はほとんどありません。高度経済成長期の公害問題や緑地不足を克服すべく生み出された「空間の多重利用」の傑作として、土木・都市計画の専門家からも今なお高い評価を受け続けています。