観光情報サイトやSNSで散見される誤解が、「神戸は瀬戸内気候だから年中温暖で雨が少ない」という画一的な言説です。確かに年間降水量は太平洋側に比べて少なめですが、局地的な気象ダイナミクスを無視すると手痛い失敗を招きます。
第一の盲点は、「晴天時の放射冷却と六甲颪(おろし)」です。昼間に快晴で暖かかった日ほど、夜間は熱が急速に奪われ、山から吹き降ろす冷たい風によって急激に冷え込みます。ディナーや夜景鑑賞でポートアイランドや摩耶山へ向かう観光客が、「昼間の陽気のまま出かけて凍える」トラブルは後を絶ちません。
第二の盲点は、沿岸部の突風による体感温度の激変です。気象庁の発表する風速は10分間の平均値であり、瞬間風速はその1.5倍から2倍に達することが珍しくありません。風速が1m/s強まるごとに体感温度は約1℃下がるとされるため、気温が15℃あっても風速6m/sの神戸港に立てば、肌感覚は9℃前後の真冬に近い寒冷環境となります。
さらに見落とせないのが、神戸市の警報・注意報の発表状況です。大雨警報が出ていなくとも、「強風注意報」や「波浪注意報」「乾燥注意報」が単独で発令されているケースが多く見られます。特に港湾部での船舶運航やロープウェイの運行見合わせは風速基準で判断されるため、出発前に自治体や気象庁の注意報一覧を確認することが鉄則です。