SNSや動画サイトの普及に伴い、フォームを知らない素人同士の勝負による「上腕骨骨幹部螺旋骨折(腕相撲骨折)」の事故例が数多く報告されています。これは、ネット上で散見される「力いっぱい横に倒せば勝てる」という誤ったイメージが原因です。
人間の上腕骨は、長軸方向の圧縮には強いものの、捻じれ(回旋トルク)に対して非常に脆弱です。自分の顔や身体を相手から背けた状態で、腕だけを無理に横方向へ押し倒そうとすると、自らの筋力と相手の抵抗力によって上腕骨に強烈なねじれ応力が加わり、割り箸をへし折るように骨折してしまいます。
「相手の手を見るな、自分の拳を見続けろ」というのはアームレスリング界の鉄則です。身体の正面に常に拳を維持し、胸の向きと腕の角度を同調させることが、怪我を防ぎつつ最大限の筋出力を生み出す唯一の方法です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
腕相撲に特化した筋力トレーニングを取り入れるにあたり、自身の関節状態や目的に応じた適切な取り組み方が求められます。
▼ 積極的に取り組むべき人
・通常のウエイトトレーニングで前腕や背中の筋力・神経系の発達が頭打ちになっている人
・格闘技や柔道、クライミングなど「引きつける力」「相手を制圧する握力」を向上させたい人
・正しい力学フォームを学び、安全に腕相撲で勝ちたい人
▼ 慎重なアプローチが必要な人
・肘の内側(内側上顆)や手首に慢性的な腱鞘炎・痛みを抱えている人(前腕種目は腱への負荷が高いため低負荷高回数から開始必須)
・フォームを無視し、力づくで相手をねじ伏せることだけに固執してしまう人