ネット上の掲示板やSNSでは、「倍率2.0倍だから半分が落ちる」「偏差値が足りないから絶対無理」といった単純化された情報が飛び交っています。しかし、高校受験のシステムを正しく解体すると、見かけの数字とは大きく異なる実態が見えてきます。
第一の盲点は、「私立高校実質倍率と志願倍率」の決定的な乖離です。私立高校の入試では、公立高校の併願者が多数出願するため、志願倍率が2倍〜3倍に達することは日常茶飯事です。しかし学校側は、公立高校へ抜ける併願者の人数(歩留まり)を過去のデータから予測し、募集定員の2倍〜4倍もの合格者をあらかじめ出します。結果として、実際の受験者数に対する不合格者の割合を示す「実質倍率」は、志願倍率よりも大幅に低く、1.05倍〜1.20倍程度に落ち着くケースが多々あります。
第二の盲点は「回し合格」の存在です。多くの私立高校では、上位コース(例:S特進や理数)を第1志望とし、不合格となった場合に下位コース(例:特進や進学)で合否判定を受けられるシステムを採用しています。これにより、第1志望コース単体で見ると倍率3倍超の激戦であっても、コース全体で見れば実質的な不合格者は極めて少ないというカラクリが存在します。
第三の盲点は、「完全無償化=完全無料」という誤解です。大阪府の制度は授業料相当額(年額上限約63万円〜実費分)を支援するものであり、入学金(約20万円)、施設設備費、制服・指定品代、修学旅行積立金、ICT端末代などの実費は全額自己負担となります。年間15万〜30万円程度の諸経費が必要となる現実を直前になって知り、家計の資金計画で混乱する家庭も少なくありません。数字の表面だけを鵜呑みにせず、制度の正確な内訳を把握することが肝要です。