夕刻の立川市が異様な熱気に包まれる。国営昭和記念公園のあけぼの口や立川口へ続く歩道は、警察官の誘導笛とメガホンの反響で耳が痛いほどだ。レジャーシートを抱えた家族連れや浴衣姿の若者たちが歩調を狂わせ、列は牛歩を強いられる。会場内に入れたとしても、帰路のゲートを出るまでに1時間以上を要する現実を前に、ベテランの鑑賞者たちはすでに公園のフェンス外へと目的地を定めている。
喧騒を避ける知恵は、都市の地形を知ることから生まれる。多摩の広大な空を切り裂く大輪は、公園の敷地内だけに降り注ぐわけではない。人工的な遮蔽物を巧みに避けた立川周辺の生活道路や河川敷、開けた公共空間にこそ、混雑を逃れた静謐な特等席が潜んでいる。