遊園地のすぐ西側に広がる化女沼は、2008年にラムサール条約湿地に登録された国際的に重要な自然の宝庫だ。冬になれば、数千羽に及ぶマガンやヒシクイなどの渡り鳥がシベリアから飛来し、湖面を埋め尽くす。鳥たちの羽ばたきと鋭い鳴き声が、寂れゆく人工物の輪郭を際立たせる。
この特異なコントラストが、他にはない磁場を生み出している。自然保護区に隣接する場所で、半世紀前の産業遺産が植物に呑み込まれ、自然へと還っていく過程。国内の多くの遊園地跡が重機によって数か月で更地へと変貌したのに対し、ここは人工物が生態系と共生しながら緩やかに朽ちていく特異なランドスケープを保っている。近代化遺産としての学術的評価を求める声が一部の建築学者や歴史研究者から上がるのも、この圧倒的な景観の唯一無二性ゆえだろう。