出世魚という概念は、武家社会の風習である「元服(げんぷく)」に由来します。江戸時代の武士や貴族階級の男子は、幼名から成人の名へと改名し、官位や身分が上がるごとに名前を変えていきました。成長するにつれて名前が次々と変わるブリの生態がこの立身出世の姿に重ね合わされ、大変縁起の良い魚として重宝されるようになったのです。
特に富山県や石川県などの北陸地方では、嫁ぎ先から実家へブリを贈る「嫁ぶり」の風習が現在も受け継がれています。「娘婿の出世を願う」「嫁ぎ先で娘がブリのように立派に成長したことを感謝する」という意味が込められており、正月のおせち料理やお祝いの席における絶対的な主役として位置づけられています。