二人の関係性を語る上で決して外せないのが、1995年に吉田拓郎がアルバム『Long time no see』の制作にあたって中島みゆきへ持ちかけた楽曲提供の依頼です。
当時、吉田拓郎は40代後半を迎え、かつて時代を牽引した自負と創作意欲の減退、音楽的なスランプに深く苦悩していました。他人に曲を依頼することなど滅多になかった拓郎が、すがるような思いで中島みゆきに送ったリクエストは、「俺に遺書のような曲を書いてくれ」という切実なものでした。
その依頼に対し、中島みゆきが書き下ろして届けたのが『永遠の嘘をついてくれ』です。デモテープを受け取った吉田拓郎は、その完成度と歌詞に込められた圧倒的な熱量に言葉を失ったといいます。中島みゆきは、弱気になっていたかつてのヒーローに対し、安易な慰めではなく、表現者としての誇りを激しく揺さぶる「最大のアンサー」を返したのでした。