診察台の上ではカーテン越しに処置が行われるため、実際に体内でどのような手技が行われているのかを知る妊婦さんは多くありません。医学的に卵膜剥離の手技と呼ばれるこの処置は、医師が滅菌手袋を着用した示指(人差し指)または中指を内診口から子宮頸管へ挿入することから始まります。
医師は指先を子宮の内口まで進め、赤ちゃんを包んでいる卵膜(絨毛膜)と子宮壁の間に指をすべり込ませます。そして、子宮口の周囲を時計の針のように360度円を描くように動かして、癒着している卵膜を剥離していきます。この指を回す動きこそが、俗に「グリグリ」と呼ばれる感覚の正体です。
このとき医師は、単に卵膜を剥がすだけでなく、指先を通じて子宮頸管の熟化度(柔らかさ・薄さ・開き具合)や赤ちゃんの頭の下降度(ステーション)を精密に触診しています。医療器具を使わず医師の指のみで行われる繊細かつダイナミックな医療手技です。