1990年代初頭、日本のフランス料理界は高級ホテルやグランメゾンによる敷居の高いコース料理が主流でした。そんな時代に「フランス人が日常で楽しんでいる、安くて美味しくてお腹いっぱいになる本物のビストロ料理を日本に根付かせたい」という強烈な信念のもと誕生したのが「パザパ」です。
店名の「Pas à Pas」はフランス語で「一歩一歩」を意味します。流行に左右されず、頑なにクラシックな調理法と手作りの温かみを守り続けてきた姿勢は、料理関係者や多くの食通から深い敬意を集めています。当時の修行経験を持つシェフたちがその後全国で独立し、各地で名ビストロを展開していったことからも、同店が「東京のビストロの原点」「料理人の梁山泊」と称される所以が理解できます。
華美な装飾を削ぎ落とし、素朴な木のテーブルとワインの香りが漂う空間で、出来立ての温かい料理を気心知れた仲間とシェアする文化。この飾らない贅沢さこそが、時代が移り変わっても色褪せない人気の根源となっています。