『最後の晩餐』の縦横比はほぼ「1:1.9」というワイドなパノラマ比率を持っています。ダ・ヴィンチはこの横長の画面を最大限に活かすため、完璧な一点透視遠近法を導入しました。
画面中央に位置するキリストの右のこめかみ付近に消失点が設定されており、天井の格子模様や両壁のタペストリーの直線がすべてそこへ収束していきます。さらに、当時の食堂に差し込んでいた実際の窓からの自然光と、絵画内の左側から差し込む光の方向が完全に一致するよう計算されていました。
この緻密な幾何学設計によって、食堂の中に立つ鑑賞者は「壁の向こうに本物の部屋が続いている」かのような強烈な錯覚(トロンプ・ルイユ効果)を体験することになります。