藤田嗣治が遺した作品の迫力を日本国内で体感するなら、東京国立近代美術館のコレクションは外せない。所蔵される重要な作品群を前にすると、印刷物やデジタル画面では到底捉えきれない、絵の具の重なりや繊細な線のニュアンスが静かに迫ってくる。
純粋なファインアート(美術)として彼が追求した画面構成は、鑑賞者の視線を自在に誘導する。猫の瞳の奥に宿る透明感、背景のマットな質感との対比。そこには、東西の美意識を一身に背負い、生涯を通じて孤高の闘いを続けた画家の魂が封じ込められている。静寂な展示室で作品と向き合う時間は、時代を超えて生き続ける絵画の生命力をダイレクトに教えてくれるはずだ。