海に面していない内陸の目黒がなぜさんまの代名詞となったのか。その起源は、江戸時代から語り継がれる古典落語の名作「目黒のさんま」にあります。
あらすじは広く知られている通りです。鷹狩りに訪れたお殿様(徳川家光や大名がモデルとされる)が、目黒の庶民的な茶屋で偶然口にした炭火焼きの黒焦げさんま。その脂の旨さに感動した殿様が、後日城へ戻って家臣にさんまを所望します。しかし、殿様の健康を過度に気遣った料理番が、蒸して油を完全に抜き、骨を一本ずつ抜いた味気ないさんまを出してしまいます。殿様は「これはいけない、さんまは目黒に限る」と呟く——という滑稽話です。
この落語の舞台となった縁から始まった祭りは、2011年の東日本大震災以降、「文化継承」から「被災地復興支援・防災都市連携」へとその意義を大きく深化させました。さんまを媒介として結ばれた東京都心と東北沿岸部の強固な絆は、単なるフードイベントの枠を超えた地域連携の象徴となっています。