なぜ『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は、老若男女を問わずこれほどまでに深く受け入れられるのでしょうか。映画ジャーナリズムおよび心理学的見地から分析すると、本作はスイスの心理学者ユングが提唱した「ペルソナ(社会的仮面)」と「シャドウ(影・抑圧された自己)」の統合プロセスを完璧にエンターテインメントへと昇華しているからです。
思春期の若者たちは誰もが、「本当の自分」と「周囲から求められるキャラ」のギャップに苦しんでいます。スペンサーは臆病さを隠すために引きこもり、フリッジはスポーツ万能の強者という鎧を脱ぐことを恐れ、ベサニーはSNSのいいね!で空虚な自己を埋め、マーサは傷つくことを恐れて他者を拒絶していました。
彼らはゲームという極限状態の中で、まったく正反対のアバター(=他者の身体)を強制的に体験させられます。屈強な肉体を手に入れたスペンサーは「勇気とは恐怖を感じないことではなく、恐怖を抱えたまま一歩踏み出すことだ」と学び、外見を奪われたベサニーは「他者を思いやる心」こそが真の美しさであると気づきます。つまり、アバターを通じて自分の中に眠っていた潜在能力や弱さを受け入れ、精神的に自立を果たすイニシエーション(通過儀礼)の構造を持っているのです。
【向いている人・おすすめの鑑賞スタイル】
日常に閉塞感を感じている人や、自分に自信が持てないティーンエイジャー、さらには日々のプレッシャーに疲れた大人にこそ本作は刺さります。まずは字幕版でハリウッド俳優陣の驚異的な声色と身振りを堪能し、2回目は楠大典や高橋広樹ら名優声優陣による極上の日本語吹き替え版を鑑賞することで、作品の二重の面白さを120%味わい尽くすことができます。