「デジタルクリエイター」と「インフルエンサー」は、世間一般では同一視されがちだが、マーケティングおよびビジネス構造の上では対極に近い概念である。
インフルエンサーのコア価値は「フォロワーに対する影響力(Distribution Power)」にある。本人のライフスタイル、ルックス、思想、カリスマ性そのものがアセット(資産)であり、企業は「その人が紹介するから買う」というファン心理に対価を支払う。評価指標はフォロワー数、リーチ数、エンゲージメント率が絶対視される。
これに対し、本来のデジタルクリエイターのコア価値は「制作されるコンテンツ自体のクオリティ(Craft Power)」にある。自身のアカウントがたとえフォロワー500人であっても、卓越した動画編集技術や心をつかむグラフィック、高度な3D CGを制作できれば、クライアントワークとして何十万円もの報酬が発生する。評価されるのはフォロワー数ではなく、過去の作品集である「ポートフォリオ」と制作スキルそのものである。
昨今のSNSマーケティングでは、企業自身が自社アカウントを運用する時代へシフトしており、インフルエンサーへのPR投稿依頼だけでなく、「自社ショート動画の企画・撮影・編集を丸ごと受託してくれる制作特化型クリエイター」への発注需要が急増している。両者の境界線を見極めることが、SNSビジネスを理解する上で不可欠な視点となる。