SNSやネット掲示板では「メキシコに行けば誰でも即座に襲われる」という過剰な脅威論と、「リゾート地なら東京と同じ感覚で遊べる」という楽観論の両極端が散見されます。しかし、現場の実態はそのどちらとも合致しません。
カルテルが外国人観光客を無差別に殺害することは、国家や米国の本格的な軍事介入を招くため、組織のビジネス上きわめて不合理です。そのため、意図的に外国人をターゲットにする事件は多くありません。本当に警戒すべき日本人被害リスクの本質は、以下の3点に集約されます。
- 巻き添え(コラテラル・ダメージ):バーやレストラン、一般路上で発生する抗争の銃撃戦に居合わせるリスク。
- 誤認拘束とカージャック:夜間の幹線道路を走行中、対立組織の偵察車両と誤認されて銃撃を受けるケースや、移動車両そのものを奪取されるケース。
- 末端チンピラによる機会犯罪:カルテルの威光を笠に着た不良グループによる、強盗や「短時間誘拐(エクスプレス誘拐)」。ATMで現金を引き出させる手口が多発。
特に危険なのは、カンクンやプラヤ・デル・カルメンなどの高級リゾートであっても、ホテル敷地外のローカルなクラブ街で違法薬物の売人と接触したり、無許可タクシーに乗り込んだりする行動です。華やかなリゾートの目と鼻の先で縄張り争いの発砲が起きている現実を忘れてはなりません。