ビートたけしの父・北野菊次郎の真実|映画のモデルと最期の遺言

ビートたけしの父・北野菊次郎の真実|映画のモデルと最期の遺言

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昭和54年(1979年)、北野菊次郎は肝不全(肝硬変)のため、79歳でこの世を去りました。折しもビートたけしが漫才ブームの頂点へと駆け上がる直前、ツービートとして浅草の舞台からテレビへと進出し始めた矢先の出来事でした。

病院のベッドで息を引き取った父の遺品を整理していた武は、母・さきから古びた一枚の紙切れを手渡されます。そこには、文字の読み書きが不自由で、生涯まともに手紙など書いたことのなかった菊次郎が、震える手で懸命に書き残した言葉がありました。

不揃いなひらがなで記されていたのは、「たけしへ。おまえに何もしてやれなくてすまなかった」という趣旨の、不器用極まりない謝罪と愛情の言葉でした。

生前、武に対して面と向かって褒めたことも、優しい言葉をかけたこともほとんどなかった菊次郎。大学を中退して浅草のストリップ劇場へ飛び込み、芸人の道を選んだ末っ子を、陰ながら誰よりも心配し、気にかけていたのは他ならぬ父でした。たけしはこの遺書を目にした瞬間、病院の片隅で人目もはばからず号泣したと語っています。この最期の瞬間こそが、確執に満ちていた父子の魂が真の意味で和解した瞬間でした。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。