華やかなスポットライトが当たる脚本家ですが、その経済的内情は過酷な完全歩合制です。「脚本家 年収の現実」を調査すると、上位数パーセントのヒットメーカーが億単位の印税や執筆料を手にする一方、デビューしたての新人ライターは年収200万円前後の兼業生活を余儀なくされるという、極端な二極化構造が浮き彫りになります。
日本脚本家連盟(連盟)や日本シナリオ作家協会が定める協定基準によると、地上波プライムタイム(19時〜23時枠)における1時間ドラマの脚本料は、新人クラスで1本あたり約60万〜100万円、実績を積んだ中堅・ベテランで150万〜250万円以上が相場となっています。連続ドラマ(全10話)を1クール単独で執筆できれば、それだけで600万〜1,500万円前後のギャランティが発生する計算です。
しかし、新人作家にいきなり連ドラのメインライター枠が回ってくることはまずありません。初期の仕事内容は以下のような下積みが大半を占めます。
- 深夜ドラマ・ショートドラマの各話ライター:1本あたり15万〜30万円程度。
- 企画書・プロット作成(開発協力):数万円〜十数万円。企画がボツになれば執筆料が支払われない、いわゆる「タダ働き(ノーギャラ開発)」に巻き込まれるリスクも現場の課題として根深く残る。
- 配信系アニメ・ゲームシナリオのパート執筆:文字単価1.5円〜3円、あるいは1話数万円単位での受託制作。
SNSや知恵袋などのコミュニティでは、「コンクールで最終選考に残ったのに、その後2年間まったく仕事のオファーが来ない」「プロットリライトを何十回もさせられた末に企画自体が立ち消えになった」といった悲痛な生の声が散見されます。実質的に専業として安定した生活基盤を築くには、連続ドラマの単独執筆、あるいは複数のレギュラーシリーズを抱えられるようになるまで、最低でも3〜5年の助走期間(兼業期間)を見込むのが現場の常識です。