現在、雇用現場で最も激しい摩擦が生じているのが、求職者が急増している精神・発達障害の領域です。身体障害者の雇用が一巡した今、企業側の採用ターゲットは精神障害者へとシフトしていますが、そこには見過ごせない精神障害者雇用のデメリットと受け入れの壁が存在します。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の調査データによると、就職後1年時点での職場定着率は、身体障害者が約60.8%、知的障害者が約68.0%であるのに対し、精神障害者は49.3%と半数を下回っています。わずか1年で2人に1人が職場を去るという事実は、双方のミスマッチの深さを物語っています。
この高い障害者雇用の離職率と定着支援の不全を引き起こす要因は、「症状の不可視性」と「波の激しさ」にあります。身体障害のような物理的バリアフリーとは異なり、精神疾患や発達障害の特性は日々の体調、気圧、対人ストレスによってパフォーマンスが乱高下します。現場の同僚からすれば、「昨日は普通に会話できたのに、今日は突然欠勤する」「どの程度まで業務の厳しさを伝えてよいか分からない」といった認知的負荷が蓄積し、やがて腫れ物に触るような距離感が生まれます。支援機関の介入がないまま孤立を深めた当事者は、居心地の悪さから退職を選んでしまうのです。