インターネットの掲示板やSNSで定期的に浮上する「千葉の海 汚い 噂の真相」を追っていくと、そこには明確な地理的・地質学的要因が存在しています。一般に「汚い」と評される理由の大半は、東京湾の内海エリア(幕張、稲毛、木更津など)で見られる赤潮や生活排水の影響、そして九十九里浜一帯の「砂の色」に起因しています。
九十九里浜をはじめとする外房北部の砂浜は、鉄分を多く含む砂鉄や砂岩の粒子で構成されており、砂そのものが黒褐色を帯びています。太平洋の激しい波によってこの砂が海中で攪拌されると、たとえ水質自体に有害物質が含まれていなくても、光を遮断して海水が濁った茶色に見えてしまうのです。この視覚的要因が、都市部住民の記憶に「濁っている海」として刷り込まれました。
一方、富津岬より南の南房総エリアや勝浦周辺の外房南部に足を踏み入れると、海況は劇的に一変します。内湾の停滞した海水とは完全に遮断され、太平洋を北上する黒潮本流がダイレクトに接岸するため、滞留することのない新鮮で清浄な外洋水が常に供給されます。つまり、千葉県の海は「東京湾内海・外房北部」と「外房南部・南房総」とで、まったく異なる二面性を持っているのです。