メディアで語られる理想論と、実際の生活現場にはどのようなギャップがあるのでしょうか。アパレルセレクトショップで10年以上のキャリアを持つ店長陣への聞き取り取材、およびSNS上の利用実態を分析すると、興味深い現実が浮かび上がってきます。
「お客様から『お店で並んでいる時は綺麗なのに、家で数週間掛けていたら伸びてしまった』という相談を毎年受けます。実は、アパレル店頭のラックに並んでいるセーターは、頻繁に畳み直されたり、展示期間が数日から数週間と短期間だったりするからこそ形を保てているのです。バックヤードのストック分は、高額な商品ほど平積みの不織布ケースで厳重に保管されています」(都内大手セレクトショップ旗艦店マネージャー談)
一方、ミニマリスト界隈で支持を集めるブロガー・あやじま氏が提唱するように、無印良品セーター収納方法として「薄型のアルミハンガーに統一し、すべてクロス掛けで一元管理する」手法が20〜40代の共働き世帯を中心に爆発的な支持を得ています。SNS上でも「毎朝の服選びで引き出しを引っかき回す時間がゼロになった」「可視化されて同じような服を買い足さなくなった」という熱狂的な肯定意見が目立ちます。
しかしその反面、知恵袋やX(旧Twitter)では「クロス掛けを試したけれど、滑って落ちてクローゼットの下で埃まみれになっていた」「薄手のハイゲージニットでやると、身頃の真ん中にくっきり折り目シワがついて着る前にアイロンが必要になった」といった失敗談も散見されます。服の素材や厚みに応じた柔軟な使い分けができていないことが、こうした落とし穴を招いているのが実情です。