ネット上の相談窓口や知恵袋で頻繁に見受けられるのが、「希望休を出したのに無視されて出勤にされた。これは労働基準法違反ではないか」という怒りの声です。しかし、法的な観点から言えば、希望休が通らないこと自体は直ちに違法とは言えません。
使用者は労働契約に基づき、業務を円滑に運営するための「シフト編成権(業務命令権)」を持っています。あらかじめ労働契約書で「毎週水曜日は休み」「土日は労働義務なし」といった曜日固定の特約を結んでいない限り、会社側には事業運営に必要な人員を配置する裁量が認められているからです。
ただし、会社側の対応が違法・不当とみなされる例外的なケースも存在します。
- 採用時の条件と著しく乖離している場合:「子どもの保育園の都合で土日は完全休日」という条件で雇用契約を結んだにもかかわらず、本人の同意なく土曜出勤を強要する行為は、労働条件の明示義務違反や契約不履行に該当します。
- パワーハラスメントや見せしめによる拒否:正当な業務上の必要性がないにもかかわらず、特定の従業員に対する嫌がらせや報復を目的として希望休を意図的に外す行為は、人事権の濫用として不法行為(民法第709条)に問われる余地があります。
- 有給休暇の申請を勝手に希望休とすり替えて却下する行為:有給休暇として申請しているにもかかわらず、会社が「希望休は月2日までだから」と一方的に拒否することは労働基準法第39条違反です。
もし希望休を断られた際の対策としては、感情的に反発する前に、まず「どうしてもその日に休まなければならない客観的な事情」を丁寧に説明し、他のスタッフと出勤日を交代する代替案を提示することが実効的な第一歩となります。