コード進行そのものは極めてシンプルでありながら、後半にかけて感情が爆発するダイナミクスはまさにオルタナティヴ・ロックの真骨頂といえる。乾いたドラムのビートに寄り添うように重なるベースライン、そして歪んだギターが夏の残り香を吹き飛ばすように鳴り響く。
日本の音楽業界には「桜ソング」や「真夏のアンセム」が無数に存在するが、8月の終わりから9月の始まりという極めて限定的なグラデーションをこれほど精緻に描き出したJ-POPは他に類を見ない。哀愁に溺れすぎず、どこかカラッとした疾走感を伴うサウンドアレンジが、聴き手の個人的な記憶と結びつき、普遍的な体験へと昇華させる。