こうした現場の意識改革の背景には、国の指針がある。こども家庭庁が発足し、乳幼児期の育ちに対する社会的な解像度が一段と高まった。厚生労働省が定める保育所保育指針においても、「感性と表現」の領域では結果の美しさではなく、自ら環境に関わり、試行錯誤するプロセスの重要性が強調されている。
1歳児という月齢は、自我の芽生えとともに手指のコントロール能力が急激に発達する過渡期にあたる。指先全体で物を握る「手掌把握」から、親指と人差し指を使って小さなものをつまむ「指先把握」への移行期だ。保育所保育指針が目指す「豊かな感性」を育むためには、子どもが素材の感触に驚き、自分の手で変化を起こせる実感が欠かせない。政策や指針の文脈からも、子どもを型にはめる行事製作は見直され、自由な表現を保障する活動設計が強く求められている。