インターネットやSNS上では、山形県の銀山温泉や台湾の九份(阿妹茶酒館周辺)が「千と千尋の舞台」として頻繁に紹介されています。しかし、ここにはファンカルチャーが生んだ大きな誤解が存在します。
まず台湾の九份について、宮崎駿監督自身が台湾メディアの個別取材に対し「九份を訪れたことはなく、モデルにしたという噂は事実ではない」と明確に否定しています。赤提灯が連なる幻想的な夜景や階段状の街並みが油屋周辺の歓楽街と偶然似ていたことから、観光PRやファンの間で都市伝説化していったというのが真相です。
また、銀山温泉についても、ガス灯が灯る大正ロマンあふれる木造多層建築と雪景色、赤い橋の美しさが「まるで油屋のようだ」とSNS上で拡散されたものであり、ジブリ公式の資料にモデル地としての言及はありません。ただし、公式モデルではないからといって価値が落ちるわけではなく、日本の歴史的温泉街が持つ独特の情緒が、作中のノスタルジーと深く共鳴している好例と言えます。