長引く咳の鑑別において、日本呼吸器学会が策定する最新の診療指針でも焦点となっているのが、「感染後咳嗽」と「咳喘息」の境界線だ。インフルエンザウイルスが引き金となり、もともと潜在的なアレルギー素因を持っていた人が本格的な咳喘息を発症する事例が頻発している。
咳喘息はゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難を伴わないため、単なる風邪の後遺症と誤認されやすい。しかし、放置された咳喘息の約3割が本格的な気管支喘息へと進行するという報告もある。医療従事者向けプラットフォームのエムスリーが実施した医師アンケートでも、インフルエンザ流行期以降に長引く咳で受診した患者の相当数が咳喘息と診断されている実態が浮き彫りになっている。早期に吸入ステロイド薬などの適切な治療を開始することが、将来的な喘息移行を防ぐ鍵となる。